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ペットを土葬しても大丈夫?
ペットの土葬は、公共の利益を脅かす恐れのない場所に限り可能です。例として「飼い主所有の土地」、または「土葬、埋葬専用霊園」などの場所です。
ペットの土葬に関する法律
ペットなどの動物の亡骸は、飼い主の手を離れてしまうと法律では「廃棄物」の扱いになります。飼い主自身が所有権利を持たない場所に土葬してしまうと、無断で廃棄物を捨てたという扱いになり、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」にあたります。
- 5年以下の懲役
- 100万円以下の罰金
また、軽犯罪法では「公共の土地」にペットなどの動物の亡骸を土葬することが禁止されています。違反した場合、「公共の利益に反してみだりにゴミ、鳥獣の死体その他汚染物、または廃物を捨てた者」として拘留、または科料に処されます。
- 1~30日未満の拘留
- 1,000~10,000円未満の科料
所有地で土葬しても損害賠償責任が発生することもある
飼い主自身が所有する土地であっても、ペットの土葬後に悪臭が発生して周囲から被害を訴えられることや、水源近くの土地で土葬すると、水源汚染として「不法行為責任」として損害賠償を請求されることもあります。
ペットを土葬できる場所
土葬自体に問題はありませんが、ペットを埋葬できる場所は限られています。周囲への配慮を忘れず、適切な場所を選びましょう。
ペットを土葬しても問題ない場所
- 飼い主が所有する自宅の庭
- ペット土葬専用霊園
条件次第でペットを土葬できる場所
- 飼い主が所有する山の中
- 将来開拓、販売を予定している所有の土地
- 飼い主が所有する土地だが不特定多数の人が利用する施設がある
ペットを土葬してはいけいない場所
- 河原
- 公園
- 砂浜
- 賃貸住宅の庭
- 思い出の場所(旅行先、ドッグラン)
飼い主自身が所有する土地内であっても、畑や田んぼなどの近くにペットを土葬するのは適切ではありません。また、農園や果樹園など不特定多数のお客様が訪れる場所も土葬には適していません。
法律には触れませんが、野生動物が多く生息している山の中に土葬すると、きちんと処理をしていても動物によって亡骸が掘り起こされる恐れもあります。その他に、多雨地域では埋葬した土が流され亡骸がなくなってしまうこともあります。
ペットの埋葬専用霊園を利用する
所有する土地が無い場合は、ペットの土葬はできません。ですが、火葬には抵抗がある方、自然へ還してあげたいという方の思いに寄り添ってくれる霊園やお寺があります。
ペットの土葬専用の墓地があり、そこへ亡くなったままの姿で埋葬できます。個別埋葬の墓地であれば、他のペットと混同されません。また、いつでも供養に訪れられます。
ペットを土葬する方法と手順
動物の遺体は、条件がそろえばゆっくりと時間をかけて土に還っていきます。ですが、土壌環境によっては何千年もまの白骨化した動物の骨が発掘されることもあります。しっかり土に還してあげられる、ペットの土葬方法と手順をご紹介します。
ペットとのお別れから土葬まで
準備するもの
- 木綿、絹など100%自然素材のタオルなど
- ペットの体重と同じ量の石灰
- 土を掘る道具
- 墓石や記念樹など目印になる物
手順
- できるだけ深く土を掘ります。ペットの大きさにもよりますが、埋葬した亡骸の上に1mほど土をかけられるようにします
- 用意した石灰を埋葬する穴の底へ撒きます
- 用意したタオルなどで包んだ、ペットの亡骸を石灰の上へ寝かせます。ふんわり包み込むようにする程度で大丈夫ですので、きつく包まないでください
- ペットの亡骸を囲むように石灰を撒き、亡骸の上にも石灰をかけてあげましょう。石灰は有機物の分解を促し、殺菌効果もあります
- ペットの亡骸を埋めていきます。できれば埋め固めるように、土をしっかりと戻していきましょう。記念樹などを植える場合には亡骸の真上ではなく横に植えるようにしましょう
- ペットを埋葬した場所は、雨などで土が減りやすいので山になるように土を盛ります
- 墓石や板など目印をたてて、ペットのお墓の完成です。できれば、ペットを土葬した場所が分かるようにしておきましょう。移動などで掘り起こさなければならない時でも、亡骸を傷つけることなく掘り起こせます
ペットを土葬した場所に記念樹を植える
亡くなったペットを土葬した場所に記念樹を植えると、木の成長とともにその場所で眠るペットの存在を感じられます。また、木が根をはり土の中でも自然の動きがあります。
気の周りには虫が集まり、木が土から水を吸い上げ成長します。葉が落ち土に還り木が呼吸することで埋葬した周りの土も空気と水分の循環がおこります。ペットの亡骸も、長い時間をかけながら土に還り自然の一部になっていくのです。
ペットを土葬するときの注意点
ペットを埋葬するときに、いくつかの注意点があります。大切なペットが静かに眠り、自然に還れるように土葬を選ぶときに役立ててください。
ペットの亡骸が土に還るまでの期間
ペットを土葬すると、少しずつ腐敗が始まります。白骨化し骨だけ残る場合や土壌環境によっては腐敗が進まず亡骸が保存されて残ってしまう場合もあります。
50~60年が経っても、亡骸がほぼそのまま掘り起こされた例もたくさんあります。ペットの亡骸が白骨化するまでに「30年以上」、完全に土に還るまでに「50年以上」と長い年月を必要とします。
ペットの土葬に適した土壌
土の中で一定の湿度、温度など条件がそろわない場合、腐敗が進んでいきません。日当たりが悪く冷え切った場所より、時間によって適度に日が当たり湿気がある方が順調に土に還っていきます。
ペットを土葬する場所は長期的に所有し続けられるか
開発予定地区や転売予定、建て替え、増築など、ペットの土葬後、様々な変化があるのは仕方のないことです。せっかく静かに眠っているペットのお墓を掘り起こして移動しなければならない状況になります。
その場所が所有を離れてしまうことになれば次の所有者が掘り起こされた亡骸を発見することもあります。長い時間をかけてゆっくりと土に還り、環境によっては完全に土に還らないこともあります。長期的に、土葬場所を残せるのかも考えてみましょう。
ペットの土葬後、腐敗臭に様々な生き物が寄って来る
肉体が分解されていく時に腐敗臭を発します。亡骸から発生した虫が土から這い出てきたり、虫を狙った鳥がきたり、強い匂いを嗅ぎつけ犬や猫がきたり、その他の動物がお墓を掘り起こしてしまったりすることがあります。人間には感じとれない臭いでも、動物は敏感に感じ取ります。できるだけ、深く亡骸を埋めしっかりと埋め固めることが重要です。
腐らないものはペットと一緒に土葬しない
基本的に腐らない物は、土葬の際に一緒に埋葬しないようにしましょう。ペットがいつも着ていたお気に入りの洋服、首輪やリード、おもちゃなどは土の中に残ります。
食べ物も、他の動物を招いてしまう原因になるので入れるときには少量にしましょう。お花や、お水などは供養として供えてあげて、土葬はできるだけシンプルにしましょう。
ペットを土葬するときは棺を使わない
ペットを土葬できれいに土に還してあげることで供養してあげたいのであれば、棺やプラスチックのケースなどに亡骸を入れて土葬するのはやめましょう。
各市町村による遺体の引取り
所有する土地もなく、火葬土葬などもできないという時に、川や山などに亡骸を捨ててしまうのは廃棄物の不法投棄になり罰せられます。どうしても方法がない場合には、各市町村へ問合せをしてください。
ペットなどの動物の亡骸を引き取りに来てくれるところや、引き取って法律の定めにより処分してもらえます。料金は、各市町村によって異なります。ペットの遺体はどんな場所であっても捨てないでください。
まとめ
ペットを火葬にするのか?土葬にするのか?居住環境によってそれぞれの供養の仕方があります。ペットが亡くなった後、火葬後に手元で供養している方、庭に土葬して記念樹を植えて次の命へ引き継がれたと供養している方など様々です。
現在、首都圏ではペットの亡骸は火葬することが主流になりつつあります。大切な家族なのに、ペットは「所有物」、亡骸は「廃棄物」など法的には物扱いになってしまうのは悲しいことです。
ですが、周囲へ迷惑をかけないためにも、適切な場所へ静かに安らかに埋葬してあげられるように、この記事を参考にしていただければ幸いです。