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ペットの散骨はしても大丈夫?
ペットの散骨に法律的な規制はありませんので可能です。ただし、他者に迷惑がかかる場所、自然環境に悪影響をもたらす場所では、散骨を行わないのがマナーです。
自治体によっては、散骨を許可していない場所もありますので、各自治体に『ペットの散骨できる場所はどこか』を問い合わせるか、ウェブページなどを参考にして、散骨を行う場所を決めた方が良いでしょう。
ペットの散骨の絶対条件として、骨は「粉末状(パウダー状)」になるまで粉砕することを守ってください。粉砕にしないでペットの散骨を行い、それが第三者に発見された場合、警察側は事件性があるかどうかを考えます。
人間の骨ではなくても、生き物の骨が複数発見されれば、虐待や遺棄事件、死体遺棄などに当てはまる可能性があり、遺棄した人物『飼い主』が逮捕されてしまう恐れがあります。つらいでしょうがお骨は粉末状になるまで粉砕してください。
それらにあてはまらなくても現在の日本では犬猫などのペットの骨や死体は廃棄物とされているので、「廃棄物の処理」という法律に違反します。これは軽犯罪法でゴミのポイ捨てとして法律違反とされています。
ペットのお骨を粉砕するために用意するもの
- ペットのお骨(火葬されたもの)
- すり鉢
- すりこぎ
- 粉砕したお骨を入れる容器(蓋付き)
- つまようじ
ペットのお骨を粉砕する手順
- ペットのお骨を小さく砕いてすり鉢に入れる
- すりこぎでお骨が粉末状になるまで擦る
- 容器にお骨の粉末を入れる
- (1)~(3)を繰り返して完成
1.ペットのお骨を小さく砕いてすり鉢に入れる
ペットのお骨を小さく手で砕きながらすり鉢に入れます。悲しいと思いますが、飼い主が心を込めていってあげられれば、ペットにとっては最高の喜びでしょう。
2.すりこぎでお骨が粉末状になるまで擦る
お骨を全部入れると後が大変なので、すり鉢にある程度溜まったらすりこぎで擦っていきます。ゴマを擦るのと同じ要領です。ペットを散骨したときに、山には山、海には海に抵抗なく馴染んでいけるように、できるだけ細かく粉砕してあげてください。手で掬うととサラサラと指から落ちて、細かな粉末が手に残るぐらいの細かさがペットの散骨に最も良い状態です。
3.容器にお骨の粉末を入れる
最初の粉砕が済みましたら、用意した容器に静かに入れていきます。このとき、すり鉢の溝に溜まったお骨の粉末を爪楊枝で綺麗にかき出して、できるだけ容器に入れましょう。
4.(1)~(3)を繰り返して完成
ここからは数回(1)〜(3)を繰り返し、ペットのお骨を全て綺麗な粉末にして、全て容器に入れてあげます。これで、散骨ができるお骨の状態になりました。
火葬されたペットのお骨は簡単に崩れますので、力のない女性でも簡単に作業が行えます。つらいでしょうが、ペットへの供養と思ってお骨を砕いてくださいね。
ペットの散骨ができる場所
- 自宅の庭(所有権が自分にある場合)
- 海(遠洋のみ)
- 山(所有権が自分にある場合)
- 川(所有権が自分にある場合)
- お寺や寺院、神社(ただし観光地、観光名所となっている場所は不可)
自宅の庭(所有権が自分にある場合)
所有権が自分、もしくは家族にあり、売却予定がない場合は可能です。(現在、最も多い散骨場所です)ただし、所有権が他者にある場合、いわゆる借家の場合は権利保有者の許可が必要になります。
海(遠洋のみ)
遠洋のみ可能です。遠洋には養殖場などがなく、またサーフィンを楽しんでいる方いませんので、海洋汚染につながりにくく、また海で楽しんでいる方々にご迷惑をかけることがないため、遠洋のみ可能とされています。
海での散骨はフェリーで遠洋に出て、そのフェリーからされる方が多いようです。不要なトラブルをさせるために、必ず事前に船員さんから許可をもらっておきましょう。
もちろん、フェリーには他の方々も乗っていて、楽しんでいる子供もいるでしょうから、海への散骨を選ばれる方は人目に付かぬようひっそりと行ってください。
山(所有権が自分にある場合)
所有権が自分もしくは家族にある場合は可能です。基本的にペットの散骨は合法なのですが、所有権は自分にあっても国から保護されている山であると問題が出てくる場合があります。また、一つの山のあちらはAさん、こちらはBさんというように所有権を持っている方が複数いる場合は諦めた方が無難でしょう。
川(所有権が自分にある場合)
所有権が自分もしくは家族にある場合は可能です。ただし、漁業権が付与された場所はできません。
お寺や寺院、神社(ただし観光地、観光名所となっている場所は不可)
意外と見落とされやすいのですが、お寺には必ずお庭があり、木々や花々が育っています。そこにペットの散骨させていただくのも考えの一つだと思います。
供養ではなく、ただの『ペットの散骨のお願い』として少し心付けをさせていただいて、許可をいただけましたら問題はないはずです。神社もまた同様です。特に神社は動物神社を併設しているところもありますので、その敷地の気に入ったところに散骨させていただくのもよろしいかと思います。
既にお寺の檀家になっているご家庭なら菩提寺にお願いすれば、快く受け入れてもらえるでしょう。キリスト教の方なら、教会の花壇に、ペットの散骨させていただくのも、神の身元に行かれたと思えて悲しみを乗り越えられるでしょう。
ペットの散骨を避けた方がいい場所
- 公園などの公共施設
- 海辺、砂浜、岸など
- 他人の私有地や建物
- 自宅の庭(借家などの所有権が他者にある場合)
- 生物の養殖場近辺
- 観光地、観光名所
- 水質汚染、土壌汚染、など環境に悪影響が出ると思われる場所
- 山(所有権が他者にある場合)
海辺、砂浜、岸など
近海には魚や貝、サンゴ、真珠といった海でしか育たない生き物の養殖場が複数あり、水質の変化が起こるとそれらの成長に影響します。また、高台や岸の上から海に流すと、海水の流れの中で必ずどこかの間に溜まって単なるよどみになってしまう可能性もあります。
また、砂浜では海辺で楽しんでお子様づれの家族もいます。養殖場への影響、環境汚染、子供たちへの心的影響、他にもサーフィンを楽しんでいる方々、それらを含めて迷惑から被害になる可能性が近海では十分にありますので、残念ですがペットの散骨は遠慮してくださいね。
生物の養殖場近辺
養殖場はその海でなければ生きていけない海洋生物たちが養殖されています。その近くでペットの散骨を行った場合、水流で流れてその養殖場に入り混む可能性が出てきます。それが水質汚染になるわけです。
そしてペットのお骨を魚が餌と一緒に吸い込む形で食べてしまう可能性が十分にあります。その養殖場で育てられた魚や貝などを人間が食べるとどのような結果をもたらすかわかりません。このようなことが想定されるので、海での散骨は遠洋で行ってくださいね。
法律的な問題が発生しない場所でのペットの散骨の仕方
大切で楽しい思い出をたくさんくれたペットとの、事実上の、本当のお別れです。あまり知られてはいないのですが、お墓の位置や向きにも良い場所悪い場所がありますので散骨可能な場所を見つけたら、できるだけ縁起良く天に昇っていけるように散骨してあげましょう。
ペットの散骨に良い方角
- 朝日の上がる方角に向かって散骨します。散骨を行う方が朝日を拝む形です
- お寺など、神社仏閣がある場合、その神社仏閣に向かって散骨します
- 仏像のお顔が正面から見える場所の場合、その仏像のお顔に向かって散骨します。散骨を行う方が仏像のお顔を拝む形です
ペットの散骨に良い時間
- 朝の5時が最も神聖とされている時間です
- 遅くなっても夕方5時にはすませましょう
ペットの散骨を行う際の注意点
ペットの散骨は粉末状に粉砕すれば問題はありません。ですが、問題なのは散骨する場所です。散骨というと山や川、海などを想像してますが、どこが誰の私有地かなどは普通わかりません。
民間の所有者がいない場合でも、国有地として守られている場所もありますので、やはり所有権が自分にない場所での散骨はなさらないのが無難です。
生前ペットが気に入っていた場所があり、どうしてもそこに散骨してあげたい場合は、まず場所の所有者がいるかどうかを調べて、その方から許可を頂けば散骨もできます。
ペットの散骨を許可された合法な場所であっても、他者への配慮としてできるだけひっそりと人目につかないようにしましょう。山の木々などへの破損は決してしてはいけません。何らかの印や言葉を残しておきたくなるかもしれませんが、そこは我慢してくださいね。
散骨は法律的な問題が関わってきますので、ペットの散骨の場所は各自治体に確認してください。私は以前、市役所に『ペットの散骨可能な場所を教えてください』とお電話をして教えていただきました。
繰り返しますが、現在ではペットのお骨の散骨は粉砕(パウダー状)なら可能です。ただ、『環境汚染』やレジャーを楽しんでいる人々に対する『迷惑行為』、墓標を立ててしまったための『損害補償請求』などから、散骨とは関係なさそうな『軽犯罪法違反』まで、簡単に出てきます。
ペットが亡くなった上、飼い主が『法律違反をしているとは知らなかった』それだけの理由で逮捕されたり、取調べを受けたりなさるのは、この上なくおつらいと思います。ですので、そういった事態にならないように、筆者としましては自治体への確認を強くお勧めしたいと思います。
最後に
この長い文章を、しかもペットの散骨の方法を、ここまでお読みくださった方々は本当にペットを家族の一員として慈しんでこられた方だと思います。そのような方とともに暮らしていたペットはきっと幸せだったことでしょう。
御心が晴れるにはまだまだ時が必要でしょうが、大切なペットのためにここまで読んでくださった、その御心だけでペットは安らかに天に昇っていけるだろうと、私は強く信じております。